交換留学を振り返って |
大森菜々子(政経在学中) |
私の台湾での生活はあっという間に1年を迎え、残すところ1ヶ月あまりとなりました。2003年7月末から1ヶ月のホームステイに始まり、台湾大学での前・後期授業を終了し、現在は大手現地旅行会社「東南旅行社」でインターンシップをしています。
この1年間の台湾生活は、本当に充実していて、とにかく楽しかったです!!台湾大学では、中国語課程のほか、合計20単位の一般授業も履修し、授業についていくのは容易では無かったし、中間・期末時期のレポート作成も(前期期末はレポート7本!しかも2本は中国語で1万字、英文レポートは10ページ!)それはそれは大変でしたが、「同学」と共に困難を克服し、何とかやり遂げたことは台湾生活の私の誇りです。
緑島・交換留学生の友達と |
それより何より、勉強と並行して経験した様々な活動は5冊の大型アルバムに収まりきらない量の写真と、思い出となり私の心に焼き付いています。もともと旅行が大好きな私は、休みとなれば台湾国内は北から南、西から東、金門島・澎湖島・緑島に到るまで旅行し、長期休暇には、タイ・桂林(中国大陸)・バリ島・ミャンマー等にも、各国からの交換留学生や台湾人同学と強行スケジュールを組んでは出かけて行きました。これほど精力的に活動した1年はこれまでにありません。早稲田の後期授業開始に合わせて帰国する前には、最後の旅行としてカンボジアに行く予定です。
どの旅行にも思い出があり、それを全部記すことはできないので、その中でも一番印象深い台湾での春節の経験とミャンマー旅行について触れます。 春節は身内で祝うものですが、優しい台湾人友人に恵まれ、合計五家庭に春節に招待されました。その中でとりわけ三家庭での体験は大変印象深いものとなりました。はじめの家庭は、「中歴(土ヘンが必要)」に住むミャンマー華僑の家庭で正月料理は雲南式の火鍋やタイ料理に少し似たスパイシーなものでした。親類縁者が大勢一同に集まり、台湾の「国語」とは異なる「雲南方言」で団欒していました。ニ家庭目は、高雄にある客家人の家族で、親戚一堂で少し塩辛い客家正月料理が並ぶ円卓を囲んでいました。親族との仲を特に重んじる慣習がある彼らの正月もまた、大変賑やかなものでした。三軒目は、台北の阿媽が流暢な日本語を話せる典型的な門(門構えの中に虫)南人家庭で、レストランでの会食に参加させてもらいました。今年の冬は稀に見る寒さとなり、本当にこれが台湾かと身を震わせましたが、家庭を大切にし、親類のみならず部外者の私も快く受け入れてくれる台湾人の心の暖かさに触れ、とても幸せな春節を過ごすことが出来ました。台湾社会は5大族種で構成されていると言われますが、多くの友人を持ち、固有の習慣・伝統に触れる機会を得たことは台湾に対する理解を深める貴重な経験でした。
ミャンマー旅行・現地友人たちと |
ミャンマー旅行は、8年前に台湾へ移住してからはじめての帰郷となる華僑の友人に同行させてもらいました。彼女の故郷であるマンダーレに主に滞在したのですが、8年ぶりの再会であったにもかかわらず、まるで同じ大学に通う同級生のような現地友人との仲良しぶりと、毎日方々へ付き合ってくれる彼らの気遣いに華僑ネットワークと呼ぶのか、同郷のよしみというのか、都会に住む日本人にない温もりを感じました。同時に裕福な彼ら華僑との間に明らかに存在するミャンマー現地人との貧富の差を目の当たりにしました。また、この国はインフラが整っておらず、毎日6時間に及ぶ停電があり、それ以外にも不定期な停水があったかと思えば、ひとたび雨が降れば道は「河」と化すような現況です。低収入の警察はお金で何とでもなり、どの観光地に行っても旅行者はまるで見かけませんでしたが、バイクに乗せてもらって灼熱の太陽の下、埃に塗れてぐちゃぐちゃになったり、5人乗りキャンピングカーに無理やり10人で乗ってハイキングに行ったりした思い出は、私の旅行歴の中でも第1か2番目に楽しかったものと断言できましょう。
このように旅に大きな興味と関心のある私が現在、旅行会社でインターンシップを経験できているのは、ひとえに早稲田OBの江正殷先生・黄俊凱様のお力添えによるものです。「外人部」というインバウンドの部署(台湾にくる日本人観光客対象)で実習しています。旅行を企画したり、ホテルやレストランとの交渉の場に同席を許されたり、時には日本人のお客様を飛行場に迎えに行ったり、送ったりの研修は、ツアー旅行の裏方世界を知る発見の連続です。
1にも2にも、沢山の素晴らしい人々との出会いが、私の台湾留学の一番の収穫であり、台湾滞在の成功の鍵であったと言えましょう。帰国後には残り1年半となった学生生活が待っています。台湾での経験を今後どのように生かせるかはまだ分かりませんが、この貴重な体験を可能にしてくれた早稲田大学に感謝し、友人らとの関係・台湾との関係を将来に渡り長く大切にし、両国の友好親善に微力ながらも貢献できれば幸いと思います。
友人の披露宴にて |
福隆・サークルのみんなと |
クリスマス・寮の友達と |
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