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「湾生(わんせい)」とは、戦前、台湾で生まれ育った日本人のことを言う。日本の敗戦後、台湾にいる日本人は台湾生まれであっても強制的に日本に送還された。その数は、軍人・軍属を合わせて50万人近く、そのうち「湾生」は約20万人と言われている。本作は、見知らぬ祖国・日本に送還された「湾生」の人々が、生まれ故郷である台湾に里帰りし、懐かしい人々を探し求める姿を追ったドキュメンタリー作品である。
12年の歳月をかけて200人あまりの「湾生」を追い、さらに5年をかけて本作をプロデュースしたのは、自身の祖母も「湾生」であり、台湾を拠点に活動している画家・田中實加(台湾名:陳宣儒)。監督は台湾のアカデミー賞といわれる金馬奨で、1998年に最優秀短編作品賞を受賞した経歴をもつ黄銘正(ホァン・ミンチェン)(『トゥー・ヤング/城市飛行』第14回東京国際映画祭上映)。
本作は2015年の金馬奨最優秀ドキュメンタリー作品にもノミネート。興行収入は1億円を超え、台湾のドキュメンタリーとしては異例の大ヒットを記録した。
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